皆さん、サラミ・ソーセージ・ベーコン・ハムと聞いてどこの国を思い浮かべますか?
多くの方が「スペインの生ハム!」「ドイツのソーセージかな?」とパッと考えるかと思います。
が!!!!!ちょっと待ったーーーーーーーーーー!
実はクロアチアは隠れた絶品豚の加工食品王国なんです。
クロアチア産の豚肉加工製品を大きく分けると、生ハムのプロシュート・サラミのクーレンの2種類があります。
また、それらを作る過程で残った部分の肉や脂身や血を使った加工食品もいくつかあるので一緒にご紹介します。
プロシュート:アドリア海に面した地域のグルメとして有名
地域にも寄りますが、材料はその地域で育てた豚・海塩・胡椒・月桂樹の葉、そしてアドリア海の強く吹き付ける”ブラ風(かぜ)”
クーレン:クロアチア北部のスラボニア地方の有名グルメ
豚のひき肉を塩・パプリカ・ガーリック等のスパイスで味付けしてスモーク熟成させた大きなサラミ
クルヴァビツァ:クーレンでは使わない部分の肉や血、臓器などを利用した黒い色のソーセージ
シュバルグラ:豚の内臓やタン、皮、ラードを利用して作るプレスソーセージ
チュヴァルツィ:豚の脂身(ベーコンの白い部分)を鍋で揚げて、ラードを除き乾燥させたもの
今回はスラボニア地方の特産品であるクーレンと似た種類のピリ辛サラミを頂いたので食レポしたいと思います。
クロアチアのサラミをもう少し詳しく
「Slavonski kulen(スラヴォンスキ・クーレン)」

豚の上質なお肉部分だけを利用して作られるとってもスペシャルなサラミ。
おもてなし用に振舞われることが多いようです。
「kulenova seka(クーレンノバ セカ)」

こちらはクーレンの妹という名前をしたサラミ。
クーレンと同じ材料で出来ていますが、細目に作られているのでその分熟成も早くなりクーレンに比べると短い期間で作ることが可能です。
「Krvavica(クルヴァビツァ)」

真っ黒な見た目をしているクルヴァビツァは、日本語に訳すと「血のソーセージ」。
レバーや内臓をメインに利用しているので少しクセがあります。
いざ、実食!

今回頂いたのは、燻製1ヶ月目の2種類のサラミです。
2種類とも腸詰めされているので、周りの薄い腸皮を剥いでから頂きます。ナイフで切り込みを入れて引っ張ると削ぎやすいですよ。
左側の黒いサラミは「Krvavica(クルヴァビッツア)ブロッドソーセージ」です。
血のソーセージ!?と聞くと驚くかもしれませんが、今回頂いたものは血を少な目に作ったそうで想像するような臭みも癖もそこまでありませんでした。
触感はしっとりとしていて、口に入れると濃厚な風味が広がります。
今回初めて頂きましたが、とっても美味しくてハマりそうでした。
レバーや内臓系好きな方はお試しあれ。
(内臓系ダメな私もかなり美味しい~~!!って思ったので、好みじゃない人も是非。)

これとラキア(クロアチアの果実の蒸留酒)は最強コンビ。
赤ワインもきっとめちゃくちゃ合います!!!
右側の赤い方は、「クーレンノバ セカ」に似たパプリカが入っているスパイシーなサラミです。
2種類とも無駄なものは一切無し!豚肉・塩・スパイスのみの素材勝負です。
クロアチアの自家製サラミは日本の化学調味料たっぷりのどこか酸っぱさがあるものと比べると、天と地ほどの差があります。
確実に病みつきになること間違いなしです。

以前パートナーの家族に貰って初めて食べたサラミは、
丸ごと齧りついて1本丸ごと1時間で食べ終わりました・・・

これに生のスライスした玉ねぎとパンを付け合わせにして食べるのがクロアチア流です。
サラミに含まれた油を辛味のある玉ねぎが上手に洗い流してくれます。お口は臭くなりますが、皆一緒なので怖くないよ!(笑)
ベストヨーロピアンサラミの受賞!
tasteatlas(テイストアトラス)という世界の名物を紹介しているサイトで、スラボニア地方のクーレンが2020年のヨーロッパベストサラミに選ばれていました。
写真や作り方も紹介していて、興味がある方は覗いてみても楽しいです。
基本的に自家製が多い
ザグレブ等の都会ではなく、少し田舎のほうへ行くと基本的にクロアチアの家庭はサラミやベーコンを手作りします。
私が住んでいる場所でも、毎年冬の時期になると田舎の各家庭では自家製サラミやベーコンの準備が始まります。
一度に作る量は各家庭なんと20~50キロほど!
冬に仕込んで1~3ヶ月程スモークします。今回私の家では20キロのベーコンを作っています。
豚の一頭買いも少なくない
クロアチアでは近所の付き合いが強いので、豚を数頭買いして数家族で一年分のベーコン・サラミを準備することも多いです。
解体から血抜き、塩漬け、ミンチ、スモークまで協力して作業します。
豚1頭数百キロ程ありますが、上質なお肉はクーレン、残り部分は「シュバルグラ」、血や内臓系は「クルヴァビツァ」、そして脂身は「チュヴァルツィ」と余すことなく全て使い切ります。

まさに頭の先から足まで一頭まるまる使い切るんですね。
しかも解体から全部一家の手作業・・・凄すぎる!
クロアチアの肉製品はもっと世界に知られるべき
ここまで読んで頂いた方は、「ふむふむなるほど。クロアチアでは豚の加工食品が美味しいんだ」と知って頂けたんじゃないでしょうか。
今まで生ハムや豚製品といえばスペインやドイツが思い浮かんでいた方も、この先クロアチア産のものを見かける機会があれば是非試してみてくださいね。