「耳が聞こえない…」客室乗務員がなりやすい病気トップ3

大空を飛ぶ飛行機

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CAやパイロットは職場が空の上という特殊な環境の中で日々働いています。
シフト勤務で昼夜問わず機内で働くクルーは身体の不調が起こりやすく、エアライン職業病と言われるものが多数あります。

中でも私が苦しむことになった航空中耳炎について、詳しく体験談をお話したいと思います。

航空中耳炎

CAがなりやすい病気ナンバーワンは中耳炎です。
特に国内線乗務の場合は、短時間で何度も発着を繰り返すので負担が大きくなります。

一度中耳炎になるとクセになってしまうと言われており、大きな負担をかけることになるので、少しでも体調が悪い場合は、乗務しないように気を付けることが大切です。

耳が痛い!何も聞こえない恐怖

私の体験談を少しお話したいと思います。

その日はドバイー大阪線の約10時間のロングフライトに乗務していました。
体調は万全、フライト前には十分な睡眠を取っていました。異変が起こったのは着陸30分前。最後の機内食事サービスが終わり、ギャレーの片づけや着陸準備などCAにとってフライトの中で一番忙しい時間です。

目が回るほどの忙しさの中、突然右耳が「ツーン…」という音とともに聞こえなくなりました。
表現が難しいのですが、全く聞こえないというより「水の中にいるような感覚」で、耳に膜が張ったように周囲の音が鈍く重くなる感じです。

通常耳が詰まってしまった場合は、あくびをしたり水を飲んだり飴やガムを噛んで顎を動かして耳抜きをしますが、どんなに頑張ってもこの日は上手くできませんでした。出来るだけ避けたようが好ましいですが、バルサルバ法と言って鼻を摘まんで口を閉じ、耳に一気に空気を送って耳抜きをする方法も試しました。
しかし効果はなく、耳鳴りはどんどん大きくなり、とうとう着陸時には「ゴロゴロゴロ…」という耳の中に水が流れているような音が聞こえるようになりました。

1週間の地上待機

お客様をお見送り後、ステイ先のホテルに到着してからも状況は変わりませんでした。
飛行機などの気圧の変化により耳が詰まってしまった場合は地上に降りて暫くすると治ることが多いので、お風呂にお湯をためてリラックスして回復を待つことにしました。

次の日も耳の詰まりは治らず、ドクターストップにより帰りのフライトへの乗務は出来ませんでした。
地上待機中は、耳鼻科クリニックに毎日通いましたが、なかなか治らず最終的にドバイに帰国出来たのは約1週間後でした。

鼓膜の手術

片耳が聞こえないという焦りと、「このまま治らなかったらどうしよう…」という心配が入り混じり、地上待機中はとても不安でした。
私の場合、この出来事がきっかけでこの後も乗務中に耳が詰まることが増えてしまい、最終的にドバイのクリニックで「鼓膜に穴を開ける手術」を受けることで物理的に詰まりが起こらない状態にしました。

手術と聞くと怖いイメージかもしれませんが、鼓膜に小さな穴を開ける簡単な手術で麻酔なしで当日帰宅のできるものでした。
だいたい半年~1年ほどで自然に穴は塞がり元通りになる安全なもので、パイロットやCAなど航空中耳炎になりやすい職業に就いている人は、この手術を受けることも少なくないそうです。

音がぱちぱち聞こえる後遺症・耳管開放症

手術のおかげで乗務中に耳が詰まることはなくなりましたが、中耳炎による後遺症は残念ながらCAを退職した1年後の現在も残っています。

唾を飲み込んだりあくびをする時など、耳の中でパチパチ、ポン!という音が鳴ります。
たまにですが、耳管開放症(自分の声や呼吸音や頭の中で響いてしまう)の症状が出ることもあります。いくつかのクリニックの専門のお医者さんに診て頂きましたが、治療法はなく漢方薬などで症状を一時的に和らげることしかできないそうです。

機内の重いコンテナの上げ下げによる腰痛

CAの敵、ギャレーのコンテイナー!

お水やジュースが入ったコンテイナーは石が入ってるんじゃ!?と思うほど重いです(涙)
特にエコノミークラス後方の大きなギャレーは永遠にチェックが終わらないほど、ぎっしりと当日の機内サービスアイテムが詰まっています。

ギャレー担当になると、セキュリティチェックで全てのコンテイナーを開けて中身の確認をするので、頭上のコンテイナーの上げ下げをする際に腰を痛めてしまうことがあります。
一度痛めてしまうとクセになってしまい、病院に通ったり数週間お休みをもらうCAも沢山います。

また日系エアラインでは、お客様のお荷物を頭上の棚に収納の手助けをする際に腰を痛めてしまう話をよく聞きます。
外資系ではCAは基本的にお客様の荷物の上げ下げは行いません。
補助という形でお手伝いをすることはもちろんありますが、基本的なスタンスとしてお客様のお荷物はお客様がご自身でケアしていただくことになっています。

サービストレーニングでも教官からは「絶対に重い荷物は持たないこと。必要な場合は、一人ではなく同僚と一緒に行うこと」と教えられました。

またビジネスクラス担当になるとエミレーツ航空では陶磁器のお皿に乗った前菜やメインをトレーでサーブするので、腕がムキムキになります(笑)

私の同期もすらっとしたスタイルの良い子でしたが、腕を曲げると硬い力こぶが出ていました。
ある意味、強制筋トレという名のメリットです(笑)

睡眠不足(不眠症)

国際線CAに起こりやすい症状で、体内時計が狂ってしまうことで起こります。

15時間のフライト後に、アメリカ24時間ステイ、また15時間かけて復路フライト、2日オフ、そして今度は真逆のヨーロッパへのフライト……
「今日は何日の何曜日?日本は何時???」と、文字通り訳が分からなくなることがあります。

そんな環境の中にいれば頭と身体も混乱してしまい、不眠になってしまったり常に眠いといった症状が表れる場合があります。

体重増加

機内食がカロリーが高いことはご存知でしょうか?
空の上では気圧の関係で味が薄く感じてしまうので、機内食は味付けを濃く作られていることが多いのです。
また裏話ですが、遭難や不時着などの緊急事態に備えて非常食の意味合いでカロリーが高く作られていることも要因です。

クルー用の食事の用意がありますが、お客様が選択されなかったメニューや多めに積んでいる前菜やデザートなどはミールサービスの後に頂くことも出来ます。
特にエコノミーからビジネスクラス、ビジネスからファーストクラスに担当が上がった時は新しい食事に心が躍り、全部食べてみたい!とフライトの度に沢山の機内食を口にしてしまうことも…。

私も1年で10kg近く増えてしまい、ジム通いすることになってしまいました。

日系CAと真逆!?意外にも少ない病気

膀胱炎

CAの職業病の一つとして「膀胱炎」がありますが、意外にも外資系エアライン(アジア系除く)では少ないと思います。
膀胱炎になったという同僚の話も聞いたことはありません。

なぜなら、空気を読んでトイレを我慢するなんて習慣も伝統もないから(笑)
もちろん満席で忙しいフライトでのサービス中にはなかなかタイミングを取れないときもありますが、それで体調が悪くなったら元も子もありません。サボりではなく生理現象なので、基本的には行きたくなったらサッと行くというスタンスです。

人間関係の悩みによるうつ病

こちらもエアラインあるあるですが、正直いじめという言葉を聞いたことも考えたこともありませんでした。

これは外資系エアラインの特徴である、毎回初めましてのクルー&男性CAが必ず乗務していることが理由に関係しているのかもしれません。
もちろん働き方の違いで意見が合わない事もありますが、お互いさっぱりしているので思ったことはその場で伝えるので後腐れがありません。
また担当クラスごとに責任者がいますので、まずはその責任者が間に入って話しあうことが多いです。

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