私が外資系エアラインのエミレーツ航空への転職を考えていたとき、ネットには年収1,000万円やはたまた300万円など、様々な憶測の情報が溢れていて正確性がありませんでした。
エミレーツ航空では募集要項にキャビンアテンダントの基本給と乗務手当の詳細が公開されています。
今回は公開されている情報に加えて実際の給与内訳や手当・手取り・食事手当やドバイでの住宅手当・保険(医療費)など、私自身が採用時、入社前に知りたかった「客室乗務員の給料の詳細」について詳しくご説明したいと思います。
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この記事が客室乗務員や外資系エアラインに興味がある方の参考になれば幸いです。
外資系エミレーツ航空とは?

エミレーツ航空とはアラブ首長国連邦のドバイに本社を置く中東の航空会社で、アブダビのエティハド航空・ドーハのカタール航空と合わせて中東御三家と呼ばれています。
2020年時点での従業員は172ヵ国・約6万人(客室乗務員は約2万人)・世界157都市就航・270機保有と超巨大グローバルエアライン会社です。
客室乗務員として採用されるとドバイに移住して国籍に関わず全ての路線に乗務することになるので、CAとして世界を飛び回りたいならエミレーツ航空!というように言われることも多い人気のエアラインです。
スポンサー活動にも力を入れており、サッカー・テニス・モータースポーツ・競馬・パワーボートなど様々なスポーツチームやイベントのスポンサーを務め、テレビでも【Fly Emirates】の文字を見たことがある方もいるかと思います。
給与・給料

給与は担当クラスと勤続年数に比例して上がっていきます。
入社1年目の基本給&乗務手当(初任給)

基本給 :約121,700円
乗務手当:約 1,750円/時間
平均月収:
約279,163円+食事手当(約30,000~70,000円)
(乗務時間90時間の場合)
※転載禁止(引用する場合は、必ずこのページのリンクとブログ名をつけてください)
2020年2月時点での入社1年目の月収は90時間乗務して、約28万円+食事手当(約30,000~70,000円)となります。
CAは基本給に加えて、ステイ付きのフライトには地域や国・ホテルランクによって4,000円~2,0000円/泊の食事手当(ミールアローワンス・パーディアム)が現地通貨で頂けます。(カタール航空やエティハド航空は、次の月のお給料と一緒に振り込まれるようです)

因みに成田フライトでは、1泊2日ステイで約18,000円の食事手当が支給されます。
ドバイ在住でお給料が約28万円で大丈夫かな…?と思われるかもしれませんが、UAE(アラブ首長国連邦)には所得税がないので、お給料は手取り額になります。
また住居無償補償に加えて光熱費・ガス・水道代も全て会社負担なので、固定費が一切かからないことが大きな特徴です。
後ほど詳しく説明しますが、住居補償以外に医療保険・ドバイ内で使える割引カードなど福利厚生もしっかりとしているので十分な生活が出来ます。

フライト先の各国スーパーマーケットで食料を購入(食事手当を利用)することが多く、ドバイでの食費はほぼ0でした。
固定費がかからないぶん、食費や交際費しだいで多くの貯金も可能です。
入社6年目のビジネスクラス担当・基本給&乗務手当
私の実際の2020年・2月の給料(コロナが広がる直前の月)をご紹介します。
基本給 :約134,321円
乗務手当 :約230,517円
食事手当 :約 65,000円
為替手当 :約 3,435円
手取り月収:約433,273円
(107時間乗務+2時間★)※転載禁止
基本給・乗務手当も年次ごとに上がっていき、入社6年目・107時間乗務で手取り約43万円になります。
(★の部分の2時間は日帰り便での現地での待機時間になります。こちらも乗務給に加わります。)
107時間は日系やヨーロッパ系では見ることのないフライト時間ではないでしょうか…(笑)
ただこの月はレイオーバー(ステイ便)が4本・短いターン(日帰り便)が1本とフライト時間の割には比較的楽なロスターだったと思います。
フライトスケジュールはこちらの記事でご紹介した月になるので、良かったらご覧になってみてください。
入社10年目の客室副責任者の給与
住居・食事手当込みで、手取り約63万円前後になります。
エミレーツ航空の昇進制度は基本的に以下のようになっています。
エコノミークラス→ビジネスクラス→ファーストクラス
→客室副責任者(CSV)→客室総責任者(パーサー)
ファーストクラス担当に留まるクルー・責任者を目指すクルーなど、個人の目的やゴールによって目指すポジションが変わります。
ファーストクラスまでは年功序列の昇進になりますが、責任者ポジションは自ら立候補して厳しい試験とトレーニングに合格しなければならない狭き門になります。
パーサーやCSVとして多国籍のクルーをまとめ、リーダーシップを発揮するかっこいい日本人の先輩クルーも多いです。
Exchange rate protection pay

給与はUAE通貨のAED(ディルハム)で頂きますが、母国通貨との為替レートが悪くなったときに補助金が出る制度があります。
2月分は3,435円分の手当がでました。

UAEディルハムと円は変動が激しいので、こういった制度は有難いです。
ボーナス
会社の業績に合わせて大きく変動します。
業績が悪いとゼロの年もあります。
ボーナスの回数は年1回・基本給の~週間分として支給されます。
少ない年で3週間分・多い年で12週分などあったと思います。
エミレーツ航空のどの路線でも利用できる往復チケット(SRC)が貰えた年もありました。
福利厚生

医療保険
医療保険は無償で補償されます。
以前は毎月3,000円ほど給料から天引きされていましたが、現在は全て無料です。
医療費
体調が悪くなったりフライト中に怪我をした場合は、ドバイ本社に併設されているエミレーツクリニックでまず診察を受けます。
必要な場合にはreferral(紹介状)を書いてもらい、入院や大病院での診察や検査を受けることも出来ます。
医療費は全て無料ですが、お薬を処方された場合のみ給料からの天引きになります。
またフライト先で具合が悪くなった場合は、会社が提携している病院でのみの診察や入院にはなりますが全て会社負担です。

フライト中に中耳炎になってしまい、完治までステイ先ホテルに1週間に滞在した事がありましたが、会社から健康状態の確認連絡が毎日あり、病院も紹介してくれたので安心でした。
診察代は保険会社負担で、直接病院との手続き・費用清算をしてくれました。
詳しい記事は下のリンクからどうぞ
→「耳が聞こえない…」外資系CAが苦しんだ職業病と客室乗務員がなりやすい病気
住宅手当

住居
入社時にアコモデーション(寮)が提供されます。
住居費・光熱費・水道代は全て会社負担です。
全てのクルーアコモデーションには24時間セキュリティーがついていて、部外者が入る場合はIDカードの提出が必要です。
門限はなく好きな時間に外出可能で友人も呼ぶことが出来ますが、クルー以外のビジターは朝3時までの帰宅がルールとなっています。(クルーには帰宅ルールはありません。)
また結婚で自分で部屋を契約したりドバイで不動産を購入した場合には、年間約150万円の住居手当が支給されます。
交通費

会社までのシャトルバスが寮から約20分間隔・24時間出ています。
所要時間は住んでいる場所にも寄りますが、だいたい20~45分ほどです。
自分で到着時間を計算して、好きな時間にバスを利用します。

会社への通勤以外にも、友人の寮へ遊びに行ったり近場のモールへ利用したりも出来るのでとても便利です。
割引が受けられる社員カード

実はあまり知られていないFACECARⅮ&PLATINUMCARD。
エミレーツ航空の大きな福利厚生の一つで、それぞれ月1,000円の会費を払うとドバイの高級ホテルのレストランやカフェの代金が2割~5割引きになります。

ホテルのプールやジムも無料で利用可能になるので、殆どのクルーが持っています。
航空券

無料チケット
1年に1枚・母国への確約チケットが無料でもらえます。
こちらは有給時に空席状況の心配をしなくてもクルーが安心して母国への休暇を取れるように、満席でも必ず優先的に乗れる特別チケットとなっています。
お盆やGW、桜の時期の日本線などは満席が続くので、この時期に帰国する場合にはこちらのチケットを利用していました。

週に数便しか飛んでいない満席路線フライトにも確実に乗ることが出来るので、助けられているクルーも沢山います。
航空券割引(格安チケット)
世界中ほぼ全てのエアラインの航空券を割引価格で購入できます。(無制限)
確約チケット(5割引き)とスタンバイチケット(9割引き)の2種類があり、空席状況に合わせて好きなチケットを購入できます。
多くのエアラインで両親や子どもにも適用可能なので、毎年両親と海外旅行に行くクルーも多いです。
有給休暇&風邪休暇

有給は年間30日・消化率は100%です。
風邪や体調不良での欠席は【シック(風邪欠勤)】として扱われ、有給日数が減ることはありません。
年間7日以上休むとパフォーマンス評価が下がりますが、有給は従業員の権利としてしっかりと守られています。
外資系CA給料・まとめ(年収)

年金や社会保険制度がドバイにはないので正確に比べることはできませんが、乗務6年目で手取り520万円・額面約700万円(住居手当150万円込みだと額面900万円)ほどの年収と同じくらいになります。
冒頭の「エミレーツ航空は年収1,000万円」という噂も、手当や福利厚生込みの金額に注目して広がったのではないかと思います。
こちらは平均額であり、フライト時間・各手当にもよっても変わってきます。
巨大企業だけあってエミレーツ航空の福利厚生はとてもしっかりしています。なかでも住居費・水道光熱費・医療費などの毎月の固定費が0なのはとても大きなメリットです。外資系CAの給料ランキングでも常に上位に入っているのも、手当の厚さを加味すると納得できるのではないでしょうか。
キャビンクルーは全員故郷を離れてドバイに住むことになるので、ドバイでの生活が楽しく豊かになるように会社のサポート体制もしっかりしています。
この記事がエミレーツ航空の福利厚生やドバイでの生活に興味がある方の参考になれば嬉しいです。
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